医薬の参考書
英語医薬論文の読みかた、訳しかた
副作用個別症例関連論文、市販後調査・研究関連論文、安全性規制・基準関係文献という風に、異なる種類の文書について訳例を解説しています。それぞれ、どんなことが書いてあるのか全体像をつかむのに便利だと思います。比較的薄い本なので短期間に読むことができます(薬事日報社)。著者はメーリングリストを主催していて、誰でも自由に参加できます。
医薬研究者のための統計記述の英文表現―欧文投稿で困ったときに
臨床試験に関する論文では統計解析の記述がありますが、英語どころか日本語で読んでもよく理解できないことがあります。この本は治験でよく使われる統計手法の表現を簡潔に説明しています。例文が豊富なので対訳を作るにも役立ちそうです。本の最後には日本語索引と欧文索引がついているので、知らない用語で困ったときには辞書代わりにも使えます(金芳堂)。
医薬英語論文用例マニュアル
本書は杏林製薬株式会社の文書課が作成した英文用例マニュアルです。この分厚い本全体を通して、英文とその訳文が対訳形式で併記されています。acidosisのような医学用語だけでなく、accompanied byやaccount forのような熟語も見出し語になっています。少し値段は高目ですが、内容が非常に濃い本です。英文を見てすぐに、その下に付いている和訳が自分でも書けるようになるのはいつのことでしょうか(日経メディカル開発)。
知っておきたい医薬品業界のルール
この本は3000円と低価格ですが内容がとても豊富です。医薬品の研究開発、承認・審査、医薬品の製造販売、保険医療などについて詳しく書かれています。入門書なので初めての人にも楽に読めるように構成されており、かつ必要な情報がよくまとまっています。イメージとして、製薬会社に入社した新人さんの教育用資料という感じです。実際、医薬教育研究会が編集しています(じほう)。
図解 生化学検査のしくみ
副題に「健康診断から環境検査・食品検査まで」と書いてあるように、様々な検査方法を分かりやすく説明しています。見開き2ページのうち左側がイラストで右側が解説文になっています。定期健診でおなじみの肝臓検査値や尿検査をはじめとして、インフルエンザや肝炎ウイルスの検査法も図解されています。また、大腸菌O-157やサルモネラのように食中毒の原因となる細菌についても書かれています。少し古い本ですが、図書館で見かけたら読んでみてください(日本実業出版社)。
なにがスゴイか?万能細胞 その技術で医療が変わる!
新聞や雑誌でも時々目にするようになった人工多能性幹細胞(iPS細胞)について易しく解説した本です。医学翻訳にもバイオの知識がある程度必要だと思います。iPS細胞の勉強を通して、細胞培養、細胞分裂、転写因子、遺伝子組換え、再生医療について少しずつ学ぶことができます。欄外に専門用語の短い解説文が付いているので、本を読み進めるにつれて周辺知識が増えていきます。図解が豊富なのも嬉しいです。講義資料
みんなの日本語教室
副題は、たった一字の誤解、わずか一字の効果!になっています(加藤重広)。BOOK・OFFで安かったので買ってきました。これは別に医薬翻訳とは直接関係ありませんが、普段何気なく使っている言葉でも改めて考えてみると知らないことが多いことが分かります。この本が特別にお勧めというわけではありませんが、文章術に関する本も1冊は読んでおくのも悪くないと思います(三笠書房)。